――依頼者である企業側に、税務における弁護士の必要性が浸透していないとすると、依頼が来たら受けるという従来のやり方が通用しないのですね。
鳥飼:われわれも革命の必要性は感じてるんですよ。われわれにとっては革命なんだけど、社会からみると、あたりまえのことをわれわれはやってないですよ。税務訴訟もそうですけれども、社会にある潜在的需要を掘り起こしておりませんから。相談に来たのを受けてるだけで。ところが、社会には潜在的にいくらでもあるわけですよ。その中をちゃんと見ると、更正処分おかしいですよというのはある。こちらの方から、こういうの問題じゃないですか、大丈夫ですか、という一種の営業や問題提起をまったくやってません。来るのをただやるだけ。もうそれで手いっぱいだから。
――司法試験でも、法的問題点のある事実関係を前提に、法的処理が問われますよね。
鳥飼:一番問題なのは何かというと、事件があることを前提として、それをどう処理するかしか、試験の対象にしていない。われわれ弁護士も来た仕事だけで十分忙しい中でやってきてるから、社会的にあるいろんなことを掘り起こすという発想はまったくありません。
ところが、実際には世の中には潜在的な法律問題がたくさんあって、税務問題の中にも法律問題がたくさんあるのに、われわれはそこに一切目も触れず、来たものだけを処理すると。本当は社会のためになるんだったら、現場が問題だとして持ってきたものだけじゃなくて、もっと大きな問題を掘り起こさなきゃ。われわれは受け取ったものだけ、相談したものだけやるという体制から、少し社会に出て、現場を見させてくれ。なんか問題あるんじゃないですか。なにか困ったことありませんか。あ、これは意外と問題あるんじゃないか。こういうことをやるうちに、あ、これは意外と大きな問題だとつきあたる。われわれにとって新しい領域です。実はそれはコンサルティングの人とか税理士とか、他の人がやってる領域なんですね。
――社会ではすでに行われていることが弁護士業界ではまだやれてないのですね。
鳥飼:仕事を待っているのって下請けでしかないんですよ。弁護士事務所に「契約書をチェックして。」と。これは下請けなんですよ、法曹ってのは。仕事をつくってるコンサルティング会社はわれわれの10倍以上もお金をもらってる。そういうことが現実ですよ。自分たちの業界が社会の中でどういう位置づけをもってるのか、その中で自分の立ち位置はそうするのか。弁護士事務所はそういうことを考えていかないといけない。